寒い時期は体が冷えて、尿意が増える。
普段が5〜6回/日だが、8回/日になる。
家で過ごす分には良いのだが、外出時に頻繁にトイレに通いたくはないため、対策を練ろうと、自分の尿意に真剣に向き合ってみた。
尿意を感じるタイミング
大学時代に学んだ形態機能学によると、一般的に尿意を感じ始めるのは、膀胱に150ml前後貯まったころだと言われている。
それが自然な尿意で、そこから我慢したとしても、膀胱で尿を貯められるのは400ml前後までと習った。
しかし、我慢することなくトイレに行ったのに、1時間経たない頃にまた尿意を感じることがある。それは冒頭に記した通り、体が冷えた時だ。
また、最近温活に取り組んでいるが、温活で体を温めた直後に尿意を感じることがある。
その件には、以下の記事でも触れている。
つまり、自然な尿意とは別に"体が冷えた時"と"体を温めた時"に尿意を感じていることになる。
一見真逆の条件だが、実際に自分の身に起きているのだ。
では理論上はどちらもあり得るのか、またはどちらかは自分の勘違いなのか、文献を踏まえて考えてみた。
前提となる体温調節機能
まず、体温の変化が尿にどう関連するのか、からだの仕組みについて改めて調べた。
尿は血液から作られることをヒントに検索したところ、体温と血液循環に関する文献にたどり着いた。
文献①
生体は体深部(core)で 産生された熱を,(中略)体の外殻部(shell),つまり皮膚表面へ移動させ,そこから環境へ放散し体温が一定となるような調節作用が働いている.
体深部が体表面への熱の移動は,皮膚血流によるものと組織を伝導で移動するものがある.
つまり、私たちの体は、体内の熱を血流等によって中心から末端・皮膚表面へ移動させ、息や汗などとして体の外に出して、体温の調節をしているのだ。
私たちが平熱を保っているのも、暑い時に汗をかくのも、この仕組みのおかげだ。
ちなみに、この文献①を引用・解説した泌尿器科のページ(文献②)があったため読んでみた。
体温による尿量の変化
体が温かいと尿は減る
文献②
温まると→体温調節効果器としての機能が働く→ 血管が拡張→皮膚血管の血液量が増加する→臓器の血液量が減少→腎臓血流量の減少→尿量の減少→頻尿でなくなる
また、皮膚血管の血液量が増加→汗腺刺激で発汗、不感蒸泄の増加→身体の水分量が減少→腎臓のホメオスタシス*¹→尿量の減少→頻尿でなくなる
血液は手足や皮膚まで巡った後に心臓に戻るが、体が温かい場合、皮膚から汗等として体の外に出ていく水分/血液量が多くなり、反対に体内を巡る水分/血液量は減るため、尿量も減るという解説だ。
つまり、体が温まっていれば尿意は増えないのだ。
*1腎臓のホメオスタシス
体内の水分や電解質のバランスを一定に保つシステム。
ちなみに電解質とは栄養素のミネラルのこと。
つい一度に塩分を摂りすぎたり、寝ている間に水を飲めなかったりするように、コンスタントに決められた量の水分とミネラルを摂取し続けることはできない。
このシステムがあることで、体調を崩さないようにバランスを保てている。
体が冷えると尿は増える
文献②
冷えると血管収縮を起こし→皮膚血管の血液量が減少する→心臓へ還流する血液量が増加→腎臓血流量の増加→尿量の増加→頻尿
先ほどの熱を外に出す時とは逆で、体が冷えていると汗が出ないため、体内を巡る血液量が増えて尿量も増えるのだ。
また、泌尿器系の学会の資料には、以下の記載があった。
文献③
なお、膀胱壁が急教に伸展されたり、勝胱炎などで膀胱壁の知覚が敏感になっているとき、寒冷時の反射促進のあるとき、あるいは精神的興奮時には膀胱容量が100mL以下でも尿意を催すことがある。
この反射は、冷たい刺激(例えば外気が冷たい、便座が冷たい等)があった時に交感神経*²が優位になるため、その際に膀胱の筋肉も収縮することを指していると思われる。
*2交感神経
緊張状態のときに優位に働き、体内の働きを活発にする神経。よく狩りや戦闘の状態と例えられる。
一方、休憩時や睡眠時などのリラックスしている時に優位に働き、体内の働きを穏やかにする神経を副交感神経といい、この2つを合わせて自律神経という。
つまり、血流と反射の観点から、体が冷えると尿意が増えるということだ。
体を温めると尿は増える?
先ほど、体が温かいと、血液が汗として体外に出る分、体内の血流量が減って尿量も減るという話だった。
それなのに、どうして温活をして体を温めた時は尿意を感じるのだろう。
考えるに当たって気がついたが、そもそも「温かい」と「温める」には決定的な違いがある。
「温かい」は状態で、「温める」は行為だからだ。
そこで、自分が「温める」ためにしたことを振り返ったところ、むくみに悩んできた脚が温活後に細くなったという変化が関係している気がしてきた。
そもそも、体の下部にある脚はむくみやすい。
なぜなら、体内の水分/血液が重力で下がっているからと、心臓から遠い位置で血液の戻りが悪くなりがちだからだ。
これに関連する内容として、文献②にこんな記述がある。
宇宙生活では、重力がないために下半身に蓄積した水分/血液が移動することで心房性ナトリウム利尿ペプチド*³の働きによって尿量が増えると言われています。(宇宙飛行による骨・筋への影響と宇宙飛行士の運動プログラム 大島博 水野 康 川島 紫乃) 参照
*3心房ナトリウム利尿ペプチド
体液バランスや血圧の調節をするホルモン
つまり、本来脚に下がる水分/血液もバランスよく巡るよう調節され、心臓に環流することで尿の量が増え、おそらく脚のむくみも出現しないのだ。
自分の温活を振り返ると、今回尿意を実感したのは、湯船に浸かった直後と下半身を温めた直後だった(ちなみに少し経つと治まった)。
ロング丈ショーツ*⁴の導入から始まり、下半身を中心に温めることが多かったが、脚の血流が良くなれば、心臓への環流量も増える。
また、湯船に浸かると、水圧で末端に滞っていた水分/血液が心臓に押し戻される。
いずれも宇宙の例と同様に、本来脚に下がる水分/血液が心臓に環流しているため、尿の量が増えたのだと思われる(脚がやせた理由も解明できた)。
結論、体を温めると尿意は増えるということだ。
*4ロング丈ショーツ
丈が長めのショーツ。
尿意を抑えるには
結局、体が冷えても、体を温めても、心臓へ環流する血液量に伴って尿量も増えるため、尿意が増えることがわかった。
しかし、先ほどのように状態か行為かの違いが、尿意を抑える対策の鍵となりそうだ。
体が冷えている状態が続くと、やはり頻尿につながる。
それに対して、温める行為は、続ける事で体深部が温かい状態になれば、体温調節機能が働き出し尿量の減少につながる。
つまり、温めることで催される尿意は、体の芯が温まるまでの一時的なものと考えられる。
実際、温活の振り返りでも記したように、尿意を感じたのは温めた直後で、少し経てば治まったため、理論上だけでなく本心から「体が温かい状態になれば(維持すれば)尿意は抑えられる」と思っている。
これを踏まえて、実際に尿意を抑えることができるようになったため、次の記事で紹介しようと思う。
参考文献
① 平田耕三(1995).皮膚血流調節の温熱生理学.J-STAGE.https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi1960/36/1/36_1_12/_pdf/-char/ja
② 都田泌尿器科医院(2019).生活指導(水分と睡眠の管理、老化対策).都田泌尿器科医院HP.https://miyakodaclinic.jp/pages/129/
③ 日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会(2019). 女性下部尿路症状診療ガイドライン[第2版]p.56
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